公務労協の吉澤事務局長

 県本部は4月21日、福岡市のモルティ天神ビルで公務員制度学習会を開いた。参加した120名が、公務労協の吉澤伸夫事務局長(自治労出身)の「公務員制度改革をめぐる情勢と課題」についての講演に熱心に耳を傾けた。

 吉澤事務局長の講演の内容は以下のとおり。

 鳩山政権は、これまでの自公政権が採ってきたILO軽視路線を大転換。仙谷公務員制度改革担当大臣がILO結社の自由委員会の委員に、公務員の労働基本権を回復することを明言した。旧政権が設置した「労使関係制度検討委員会」は、政権交代後の昨年12月に「報告」を取りまとめ、「スト権」への具体的言及は行わなかったが、受け取った仙谷大臣は「スト権付与」にも積極的な姿勢を示しており、今後の政府の検討では「報告」の内容を前提としない踏み込んだ議論となることが期待される。
 法案提出が当初予定よりずれ込み、国家公務員法の一部改正(内閣人事局の設置等)を先行することとなったため、公務労協から政府に対し、基本権問題を単に先送りするのではなく、@ILOへ正式に政府見解を示せ、A先行する国公法の改正附則で基本権回復に言及せよ、B政治姿勢を閣議決定で示せ、との3項目を求めた。現段階で、@については従来の姿勢より踏み込み「ILO結社の自由委員会勧告も参考にしてまいりたい」との文書が提出され、Aについては「自律的労使関係制度措置に際しては体制を整備する。必要な法制上の措置を講ずる」と附則案に表現された。
 ただし、政権の支持率が下がるとともに官僚の抵抗が始まっており、@のILOへの文書は5月に開催される次期総会への提出期限である4月10日時点で担当の厚生労働省が「翻訳に時間を要している」との理由で提出しておらず、公務労協の抗議を受け15日提出となるなど、参議院選挙以降に先送りして、政治情勢を見定めたいという姿勢が現れている。
 現時点で政府は、参議院選挙後につめの作業を行い、来年2011年の通常国会で法改正し、2012年から新たな労使関係をスタートさせる予定としている。その流れでいくと、参議院選挙の結果が、今後の方向性に与える影響は甚大である。7月の参議院選挙で「逆ねじれ」を生じさせてはならず、参議院選挙後に当局側とも整理の上、公務労協としての今後の交渉等のスケジュールを示すが、その後の半年間がヤマ場となる。
 課題となる「賃金決定システム」は、「集権的か分権的か」「労使交渉にどこまで権限を与えるか」など基本理念をしっかり押さえた議論が必要で、中央交渉での決定権が強いフランスのシステムなどが参考となる。また、「交渉スケジュール」については、「民間の相場形成に参加する」視点で、民間と同じ2月から3月に取り組む春闘結集型が運動論的には望ましく、主要な選択肢のひとつとなるが、その場合予算への反映が課題となる。
 60年変わらなかった制度を変えるためには相当の汗をかく必要がある。永年の課題である労働基本権回復のチャンスであり、我々世代の責任として実現に繋げていかなければならない。