事例に学ぶハラスメント防止の極
その4

長時間労働を強いられ
自殺に至った例

 大手自動車メーカーの元社員で25歳の男性が自殺したのは、同社が過労に対する配慮を怠ったからだとして、男性の両親が同社を相手取り、約1億1千万円の損害賠償を求め裁判所に提訴した。男性は入社3年目でベテランが担当する部門に担当替えとなってから時間外労働が多くなり、自殺1カ月前は月に71時間程度の時間外労働があった。またパソコンのログ記録から、自宅でも業務を余儀なくされていた。さらに上司から「残業しなければならないのは業務能率が悪いからだ」などと、パワーハラスメントと取れる叱責を受けていた。同僚などの話から、男性は3月下旬にうつ病を発症したとみられ、同4月2日に社宅の自室でロープを首に巻いて自殺した。
 原告側は男性の自殺は同社が多重な業務に加えパワハラ対策を怠り、労働安全衛生法に定める安全配慮義務に違反したとして、慰謝料など計約1億1千万円の損害賠償を求めた。


【相談員のコメント】

職場のメンタルヘルス対策が重要視されてきた背景には、過労死や過労による、うつ病の発症やうつによる自殺などが増えてきたことがあります。この事例はそれに加えて、「仕事をこなせないのは本人の能力のせい」として過剰な時間外労働を放置するばかりか、精神的に追い詰めるような上司の言動が問題です。過労死はもとより、セクハラやパワハラは個人の問題ではありません。事業主には安全で安心して働ける職場環境を整える義務があるのです。管理職を対象とした研修などを行い、適切な職場環境づくりに関する理解を深めるようにしましょう。