労働災害を無くすためになにをしたら決定的な効果があるか。危険な部分に完全なカバーをつける、作業者の安全衛生教育を徹底する、勤務体制を無理のないものに見直す・・・。いろいろあるが決定的とまではいかない。どうやっても何とか人に仕事をしてもらう限りは危険を排除することはできない。
たった一つ決定的な労働災害防止対策がある。外注化である。要するにまるごとヨソでやってもらったら、もし労働災害が起きてもそこの会社の責任になりアレコレ対策に悩む必要もないということになる。それに仕事によっては、他の業者に頼んだ方が安上がりになるということが大きい。
こんな話を聞いた。学校の用務員が、校庭の脇にある急斜面の土手に茂った雑草を刈り取る作業をしようとすると、校長がやってきて、それはやるなと指示する。数日たってから、校長が教育委員会にかけあい業者に委託したという。校長にしてみると、用務員に危ない仕事をさせてケガでもされたら管理責任が問われるが、業者に頼めば責任は無くなるということだろう。これぞ管理業務の手腕というわけである。
とにかく世の中アウトソーシングばやりである。労働者派遣事業法も改定され、もともと構内下請という外注方法が一般的になっていた製造業で解禁され、次は建設業という話だそうだ。
しかし、安全衛生対策から考えるとこの状況は困った問題を引き起こす。たとえば一つの現場で、正社員以外に3社の下請業者の労働者が、それぞれの上司の指揮命令で働いていたとすると、安全衛生対策上の統一性をどう取るのかということになる。
実際、下請業者間の作業予定の連絡調整が十分になされていなかったために死亡災害が発生するというような事例がここ数年増えていると言われている。こうした場合、事故の責任について、個々の事業者の責任は問われても、もともと仕事を発注した会社の責任は、労働安全衛生法上は問われないこととなってしまう。
今年行われる労働安全衛生法改正の重要事項の一つがこの「元方事業者の連絡調整義務」というもの。「製造業等」に限定されているが、同じ場所の仕事で、安全も含めて全部外注化などという論理は通用しないこととなる。ヨソさんに頼んだらそれでオシマイという考え方は、製造業に限らず改めねばならない。