仕事が原因でけがをしたら労災保険で診てもらうし、他のいろいろな補償も受ける。労災隠しや過労死の問題などあるが、少なくとも法律でそう決まっている。というのは誰でも知っている。少し例外があって、公務員の場合は、国家公務員、地方公務員それぞれ別の同じような制度があり、船員の場合も船員保険という制度で保護されるというのも、なるほどと思う。
それでは地方自治体で働く非常勤の職員はどうか。
この問いに正確に答えられる人は案外少ないだろう。月のうち18日以上、常勤公務員と同じ時間以上働くこととなって1年を経過した以降の非常勤職員は、常勤と同様の制度が適用される。それ以外の非常勤職員については、本庁に勤める非常勤職員の場合はその地方自治体が定めた災害補償条例の適用となり、それ以外の非常勤職員は労災保険の適用となる、というのが正解である。
法律には漏れがない。当たり前のことだが、日本国憲法、労働基準法で守られる労働者の最低限の権利は、どんな場合でも法律上確保されているのである。しかも、時代の進展とともに切り替わる基準についても、ちゃんと横並びですべての災害補償制度が追いつくようになっている。
しかし、困ったことも起きている。たとえば学童保育のアルバイトや、家庭ごみ収集の作業員として半年雇用で働いている非常勤職員が災害にあったとしたら、これは労災保険の適用になるし、本庁での事務のアルバイトならその自治体の条例が適用されることになるが、その制度適用関係を自治体の災害補償担当部局自身が知らなかったりするのである。そして、本来は労災保険の適用であるはずの非常勤職員について、保険関係の成立さえ届け出ていなかったりする。
現代の労災保険制度はかなり複雑になっている。労災保険による療養が終わってもアフターケア制度でいろいろな支援があるし、各種の援護措置、援護金があったりする。管轄する労働基準監督署や公務災害補償基金であれば当然制度運営のプロだから問題ないが、自治体の災害補償担当部局がすべてに通じているわけではない。
かくして地方自治体の非常勤職員は、不運な公務災害の上にさらに不利益をこうむるという事態が生じる。これはもう制度改正が必要としか言いようがない。