正月

 かつて日本の大晦日の風景は、特別な日のはじまりでした。その昔、年の暮れから元旦にかけてカミが訪れるという信仰があったそうで、山から訪れるのは山の神や歳神(としがみ)と呼ばれ、海から訪れるのは海の神。山や海からの来訪神はわたしたちの祖先で、現世を離れ、一定の期間を経て再び祖霊やカミとなってこの世を訪れると考えられていたそうです。カミが訪れる大晦日から元旦にまたがる深夜に「年取りの膳」を食すことでカミと生命の新旧交替を行い、一年のツミやケガレを払う。そして人々に新しい生命が蘇り、再び新しい一年がはじまるという民間信仰です。
 すっかり今は昔ですが…子どもの頃、コトコトと黒豆がストーブの上で煮られ、御節料理の準備が始まり、家族総出で大掃除。そんな風景はやはり美しいものです。いまでは宅配で「御節料理」も届く時代ですが、初詣でに出かけ「良い年でありますように」と祈る気持ちは変わらないのかもしれません。