赤い小さな豆=小豆(あずき)

 大正時代半ばまでは、赤ちゃんの健やかな成長を祈り、小豆を紅絹に入れた枕を作ったといいます。また、婚礼の祝いには米三升、小豆三合を盛って持参する風習も残されていました。

 この小さな赤い豆はかつて、佳き日、めでたき日を寿ぐものとして大切にされ、現在でも赤飯、小豆雑煮(ぜんざい)は、折々の祝いの席に登場します。

 その昔、米についで小豆には「霊力」があるとされてきました。どうやら、小豆の赤い色にその意味があるようです。赤い色には古くから災いを防ぐ「魔力」があると信じられ、猿田彦や天狗の面が赤いのもその表れです。

 人々の暮らしの中から紡ぎ出した知恵、願いやその想いが、習慣や伝統として、今でも残されています。その地平の上にわたしたちがいることを考えると、小豆の小さい粒も少し違って見える気がします。