花 火

 「た〜まや〜。か〜ぎや〜。」(玉屋・鍵屋)江戸時代の両国橋界わいのにぎわいは、安藤広重の浮世絵でも有名ですね。
 江戸時代、町民を引きつけてやまなかった花火。当時の文献には、「しだれ柳」「大桜」「天下泰平の文字うつり」「流星」「ぼたん」「蝶」などの魅力的な名前が残されています。
 闇夜の天空に、燦然(さんぜん)と輝く一瞬の美の極地は、見る者の心をとらえて離しません。永遠にとらえることのできない儚(はかな)い夢、一瞬夜空に咲く大輪の花。花火は、日本人の無情感にも通じるものがあります。
 そう言えば、江戸両国の花火の始まりは、疫病で多くの人々が亡くなったことへの鎮魂だったと今に伝わっています。